1658上山和雄著『米国に残された要視察人名簿——大正・昭和前期を生きた人びとの記録——』

書誌情報:芙蓉書房出版,426頁,本体価格12,000円,2022年6月24日発行

戦前の特別高等警察特高)は敗戦後GHQの人権指令によって治安維持法とともに廃止されたはずである。しかし,内務省は警保局に公安課,各府県には公安警察を設置し,内務省解体後もそのまま引き継がれ,1952年には公安調査庁が設置される。
ところがである。著者によれば,戦前の特高関係者の一部は公職追放されたものの多くは追放を免れ戦後の警察,公安に「転職」した。同時に公安だけでなく,「近年技能実習生や「不法滞在外国人」の処分をめぐって大きな問題となった出入国管理を担当する分野などにも,影響を及ぼしているといわれる」(「あとがき」425頁)。また,著者はメリーランド州立大学ブランゲ文庫調査の際に,自分の名前を公安調査庁の刊行物の中に発見し,本書刊行のひとつの動機と記している。
ほかでもなく,特高が集積した「要視察人名簿」にはわれわれも知っている有名人も含まれている。多くは無名の,市井の人びとであり,「大正・昭和初年という時代を,精一杯生きた多くの人々の記録ともいえる名簿」(「はじめに」8頁)である。
解説部分(要視察人制度の仕組みと変遷,要視察人名簿の検討,さらに米国議会図書館東洋部日本課の書架にあった要視察人名簿の紹介)と名簿(本邦社会主義者名簿,岩手県特別要視察人名簿,要視察人名簿[米国議会図書館蔵])からなる大著である。

1657池上惇著『池上四郎の都市計画——大阪市の経験を未来に——』

書誌情報:京都大学学術出版会(学術選書105),xv+217頁,本体価格1,800円,2022年8月25日発行

池上四郎(1857-1929)は,会津藩出身で会津戦争を戦い,図南藩で辛苦を体験し,後警察官僚を経て第6代大阪市長(3期10年)になる。退任後は朝鮮総督府政務総監になり,任期半ばで病没した。天王寺公園内には銅像がある(1935年建立。戦中の金属供出により撤去されたが,1959年6月に市制70周年を記念して再建された)。
著者は池上四郎の孫にあたり,大阪市長時代の業績を中心に都市計画の先見性を発掘している。池上四郎の最大の功績は,中央集権的な行政体質を是正させながら,都市社会政策を主張する学者たちを登用し,また,地域コミュニティにおける満場一致ルールの適用を実践したとしている。
著者が関心をもつ文化資本論や創造都市論にひきつけながら,池上四郎の都市計画構想,都市社会政策,社会教育論,地域コミュニティ共同事業論の再評価を試みている。

1217刑務所のなかの卓球台とビリヤード台

今夏,日本の刑罰が115年ぶりに見直された。受刑者更生と再犯防止が目的である。

そんななか,「ノーマリティーの原則」を掲げ,「世界一人道的な刑務所」「世界一豪華な刑務所」がノルウェー南部ハルデン近郊にあることを知った(The Asahi Shimbun GLOBE,第262号,2022年9月4日号→https://globe.asahi.com/article/14707763)。

ノルウェーの刑罰は犯罪者の「自由を奪う」ことにあり,決められた時間,決められた時間にいなければならず,自由時間は週1回1時間まで(独身の場合の家族らとの面会)である。ただし,奪われるのは最小限の自由で,投票,治療,教育,職業訓練を受ける権利は堀の内外と同様である。恋人や配偶者と面会する個室の前にはコンドームが置いてあり,子どもがいる場合,一緒に宿泊できる専用の部屋もある。

個室以外に,図書室,サッカーコート,トレーニングジム,音楽スタジオもある。目を引いたのが娯楽室に置かれた卓球台とビリヤード台だ。卓球台の写真からはこの卓球台が同じ北欧のスウェーデン製でも,ドイツ製でもなく,フランスの 'cornilleau' (コルニヨーあるいはコニヨール)製であるとわかる。

フランスでは卓球といえば 'cornilleau' であり,卓球=cornilleau,である(フランスでも「ピンポン」でも通じると思う)。卓球がかつて「ピンポン」といわれ,「ピンポン」という会社ができてから卓球と言い換えられるようになってもまだ「ピンポン」で通じるのと同じ関係だ。ホッチキスではなくステープラーゼロックスではなくコピーと言い換えが進むも製造元がそのまま道具の名称になっている例はおじさんの世界だけではない。

刑務所内に cornilleau 製の卓球台(おそらくビリヤード台も cornilleau 製)を置いてあるというのも刑務所のこだわりを感じる。日本の公民館や旅館,大学の寮などにおいてあるようないかにも安っぽいものではないからだ。新聞版からもウェブ版からもしっかりした作りであることがわかる。備え付けのラケット,ラバー,ボールについての追加情報が欲しい。

GLOBE+ウェブ版より転載

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--松山市立子規記念博物館デジタルアーカイブhttps://akamac.hatenablog.com/entry/2021/09/22/143745
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--トーマス・カリアー著(小坂恵理訳)『ノーベル賞で読む現代経済学』 →https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/22/134142
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--張本,決勝進出ならず(卓球アジア選手権)→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/09/22/174331
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--平成30年度「Society5.0実現化研究拠点支援事業」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20180922/1537625941
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--『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』第19号/2017年春号→https://akamac.hatenablog.com/entry/20170922/1506087520
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--あわづ温泉→https://akamac.hatenablog.com/entry/20160922/1474541223
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--リオ・オリンピック卓球代表→https://akamac.hatenablog.com/entry/20150922/1442929844
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--加瀬英明著『日本と台湾――なぜ,両国は運命共同体なのか――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20140922/1411396959
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--福原,石川ともベスト8どまり(卓球女子ワールドカップ神戸大会)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130922/1379858116
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--愛媛大学いもたき会2012→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120922/1348327376
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--丸善ライブラリーニュース第14号→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110922/1316698515
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--大学犬はなちゃんの日常(その186)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100922/1285164199
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--『図表でみる教育 OECDインディケータ(2009年版)』概要)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090922/1253628189
--いまどきの高等学校→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090922/1253628190
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--愛媛大学天皇杯サッカー選手権二回戦突破ならず→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080922/1222075136
--中国・四国地区国立大学合同入試セミナー in 岡山→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080922/1222075137
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--アン・ヴァーノン著(佐伯岩夫・岡村東洋光訳)『ジョーゼフ・ラウントリーの生涯――あるクエーカー実業家のなしたフィランソロピー――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070922/1190453448
--大学犬はなちゃんの日常(その27)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070922/1190453449

837羊羹「吾輩は羊羹好きな猫である」

東北大学創立115周年・総合大学100周年記念として東北大学附属図書館と白松がモナカ本舗が新商品「吾輩は羊羹好きな猫である」羊羹を発売した。

白松がモナカ本舗製作東北大学ロゴマーク入りミニヨーカン4個入りで1箱800円(税込)だ。パッケージでは漱石の作品にちなんだ猫と漱石のエピソードが紹介されている。

monaka.jp

東北大学には「漱石文庫」があり,デジタルアーカイブプロジェクトはすでに完了し(→https://www.library.tohoku.ac.jp/collection/collection/soseki/),東北大学デジタルコレクションに加えられている(→https://www.i-repository.net/il/meta_pub/G0000398tuldc)。

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--夏目漱石『明暗』のなかの「経済学の独逸(ドイツ)書」再論(その2)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070326/1174877842
--夏目漱石『明暗』のなかの「経済学の独逸(ドイツ)書」再論→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070324/1174711281

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--佐藤滋正・佐藤俊幸・篠田武司・堀田泉・浅野清・佐々木政憲著『市民の社会経済学』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070921/1190362925

836国葬報道考

エリザベス女王国葬があった19日午後7時からのNHKニュースはすばらしかった。台風14号の情報を何度か入れながら,いつものニュースの30分の2倍以上の75分を使って,女王の国葬を報じていた。コモンウェルスの一員でもない日本の公共放送が,ニュースといいつつ1時間の国葬を実質的に生中継していたからだ。終了後の中継・特別番組を含めれば115分にもなる。

遠い島国の女王の国葬にこれだけの時間を割いたわけだから,今月末にある元首相の国葬についてどれだけ力を入れて中継等をしてくれるのか,楽しみである。ほかでもなく,自分の国で執りおこなう国葬であるからには,公共放送として75分の倍の150分は欲しいところだ。期待している。

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--カップヌードル誕生50年→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/09/20/163926
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--右利き「許昕」のグリップ→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/20/142834
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--張本,準決勝へ(卓球アジア選手権)→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/09/20/233000
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--林純次著『残念な教員――学校教育の失敗学――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20170920/1505916102
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--ある中学2年生の調べ学習「海運王山下亀三郎」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110920/1316527231
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--円道まさみ著『フライドポテトと戦闘機――オバマ時代のアメリカ事情――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100920/1284988108
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--山下亀三郎自伝『沈みつ浮きつ』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090920/1253432925
--社会思想史学会年報『社会思想史研究』第33号→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090920/1253432926
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--ふたたび和歌山ラーメンを食す→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080920/1221896837
--ホテルにある愛媛製品→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080920/1221873866
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--大学犬はなちゃんの日常(その26)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070920/1190257384

1216早田,単複2冠(卓球WTTコンテンダー・アルマティ大会)

WTTコンテンダー・アルマティ(カザフスタン)大会(9月13日〜9月18日)が興奮を残して終了した。

早田ひなが,女子シングルスと同ダブルス(平野美宇とのペア)で優勝し,2冠を達成した。

シングルスでは1回戦の中国の銭天一(QIAN Tianyi)が大きな関門だった。銭は前週のマスカット大会で優勝すれば,今月末からの世界選手権の中国代表になれるはずだった。陳幸同(CHEN Xingtong)が優勝し,中国の代表の5人目に内定し,代表にはなれなかっただけにその影響があったかもしれない。この試合を零封すると準決勝の平野に1ゲームを取られただけで決勝に進んでいた。決勝のポルトガルの付玉(FU Yu)にも,タイミングが合わず1ゲームを許したが,最後は強打で押し切った。早田は,コンテーンダー大会で初優勝。

ダブルスでも,準決勝の台湾の陳思羽(CHEN Szu-Yu)・黄怡樺(HUANG Yi-Hua)ペアとのラリー戦を 3-1 で制し,それ以外は零封し圧倒的な強さを発揮した。

男子シングルスは,準決勝の篠塚大登,決勝の台湾の林昀儒(LIN Yun-Ju)にともに,4-3 と大接戦をものにしたドイツのフィルス(FILUS Ruwen)がコンテンダー大会初優勝となった。チョッパーとはいえ,攻撃的な卓球をし,ラリーやロビングで今大会を盛り上げた選手のひとりだ。

予選勝ち上がりで準決勝でフィルスに惜敗した篠塚は1回戦で韓国の李尚洙(LEE Sangsu)にゲームオール 6-9 からの逆転で勝った。安定した両ハンドでファイナリストに今一歩だった。準決勝ではゲームオール 13-15 と紙一重の差だった。10-11 のマッチポイントでフィルスがサービスミス。このあと 12-11 のマッチポイントでレシーブミスが痛かった。5月のフィーダー・フリーモント大会での優勝をはじめ,今年の国際大会で結果を残しており,外国選手との対戦成績がすばらしい。今後注目したい日本選手だ。

混合ダブルスは,台湾の林・陳ペア,男子ダブルスは同じく台湾の林昀儒・廖振珽(LIAO Cheng-Ting)ペアが優勝した。林はシングルス準優勝,ダブルス2冠となった。

中国の若手選手が多くエントリーした今大会は,中国選手の優勝なしで終わった。早田,平野,篠塚はそんなドローのなかで中国若手選手を圧倒していた。

-WTT→https://worldtabletennis.com/eventInfo?eventId=2606
-WTT YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UC9ckyA_A3MfXUa0ttxMoIZw
-テレ東卓球チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCVG4KpQRpA99jZk2hHZT9-Q

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--デジタル版マルクス・エンゲルス草稿集→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/09/19/162013
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--右利き「許昕」のラケット→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/19/233000
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--シングルスR64まで(卓球アジア選手権)→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/09/19/233000
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--「大学序列」(『週刊ダイヤモンド2017年9月16日号』)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20170919/1505828712
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--北野正一著『『グリーン経済』を実践してビジネスチャンスも掴もう!』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120919/1348064488
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--マック用メモパッド ATOK Pad を使ってみる→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110919/1316441056
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--おさぼり
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--村松友視浅井愼平南伸坊白井佳夫著『伊丹十三――カメレオン男のトリック――』(その2)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080919/1221829996
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--経済産業省商務情報政策局情報処理振興課編『eラーニング白書 2007/2008年版』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070919/1190192294

1656岡田晴彦著『10,000tを動かす技術——超重量物を1mm単位でコントロールするジャッキの力——』

書誌情報:ダイヤモンド・ビジネス企画発行,ダイヤモンド社発売,185頁,本体価格1,500円,2022年6月14日発行

本書の舞台はオックスジャッキという会社である。ジャッキ業界で唯一,製作だけでなく販売,レンタル,工事をすることができる会社である。
オックス邪気は,白銀屋商店(1929年創業)を母体として,山本扛重機(1951年設立)とジャッキ専門レンタル会社オックスサービスコンサルタント(1963年設立)の合併で誕生した(2000年)。ちなみに,「扛重機」と書いて,「こうじゅうき」と読む。『広辞苑』の「じゃっき」で引くと「扛重機」が出てくるとは初めて知った。
ジャッキを使った実際の現場である北陸新幹線武生橋梁工事,国道45号気仙沼湾横断橋梁工事,東京2020会場「有明アリーナ」の屋根架設工事,幸町架道橋桁架設工事,仙台東部道路,高速横浜環状北線工事などを通じて,「ニッチな業界の小さいが知る人ぞ知る会社」を紹介している。
推進機構,鉛直支持機構,スラスト対策機構からなる数十ものジャッキが超重量物を動かしている。「有明アリーナ」はNHKスペシャル東京リボーン(1)「ベイエリア 未来都市への挑戦」(2018年12月23日放送)のなかで「数多くの困難をかかえるものだった」工事として登場する。もちろん,オックスジャッキは下請け(二次協力会社)なので,出てきたのは元請けの竹中工務店だったが。
建設現場はこうして動いている。