056西垣通著『ウェブ社会をどう生きるか』

書誌情報:岩波新書1074,ix+182頁,本体価格700円,2007年5月22日

ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書)

ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書)

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情報は伝わらない,ウェブ2.0アメリカのフロンティア精神のあらわれでありかならずしも人間にとって有益とはかぎらない。著者は本書で展開されているこの基本的主張をすでに『基礎情報学』(asin:4757101201)や『情報学的展開』(asin:4393332423),あるいは『IT革命』(asin:4004307295)で述べていた。本書は2006年からIT関連の話題をさらったウェブ2.0の登場を機に「真のIT革命」を再説した書物ということができる。
情報を生命・社会・機械にわけ,生命情報と関わらない機械情報の限界を説く第1章。集合知ロングテールの性格を問う第2章。国民国家に特徴づけられる現代世界における英語グローバリズムを抉る第3章。情報理論の功罪を整理し,生命情報の大切さを確認する第4章。学び,地域情報化,団塊世代をキーワードに情報学的展開を論じる第5章。
情報爆発を目の前に冷静な思考と生活圏に根ざした行動を対峙したことではウェブ2.0礼賛論への批判である。ITのもつ力を生きる力に結びつけようとする努力においては情報学の展開である。生命情報中心の情報学的展開の要である具体的実在がいささか断片にすぎないように思われるが,これは情報学の専門家からのみなへの問題提起と考えられよう。