132リチャード・パイプス著(飯嶋貴子訳)『共産主義が見た夢』

書誌情報:ランダムハウス講談社,222頁,本体価格2,000円,2007年2月7日

共産主義が見た夢 (クロノス選書)

共産主義が見た夢 (クロノス選書)

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著者はレーガン政権時に国家安全保障会議ソ連・東欧問題顧問を務め,冷戦期のアメリカの外交政策の一翼を担った。
共産主義の失敗は「その運動の性質自体に本来備わる欠陥」によるもの,マルクス主義の誤謬にある,が著者の立場である。20世紀初頭におけるソ連の成立,スターリンの独裁も元をただせばマルクス主義の信奉にあったし,冷戦を招いたのも革命を輸出しようとしたモスクワにあるというわけである。人類の一大実験としての共産主義は過去においてと同様一縷の未来もなく,自動崩壊するにいたるというのだ。
反革命を輸出したアメリカの実態は見事なまでに描かれていない。アメリカの一知識人の立場を知るうえでは格好の書物といっていい。