151田中宏和著『丸山真男の思想がわかる本』

書誌情報:秀和システム,188頁,本体価格1,000円,2007年1月23日

ポケット解説 丸山真男の思想がわかる本

ポケット解説 丸山真男の思想がわかる本

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著者は,左の「リンク集」にある「市民のための丸山真男ホームページ」で,最近では同じく左の「はてなアンテナ」にある「世に倦む日日」で知られている「21世紀の草莽の知識人」(本書の帯の惹句から)である。前者で展開した丸山についての評論をもとに丸山眞男へ誘う書物である。かつて著者による評者のホームページ評によって力づけられたことがある(→http://www2s.biglobe.ne.jp/~MARUYAMA/link.htm)。本書においても力説されている「税金で循環する擬似的市場ではなく,市民社会の内部に本来的な知識市場を興」(19ページ)すという問題意識を評者も共有したい。
丸山眞男から3つの方法(視座構造,執拗低音,正統と異端)を抽出し,丸山そのものへの挑戦の例を示そうとした意図はよくわかる。また,音読のすすめ(26ページ以下)も実感している(参照→「『資本論』,そして「労働日」――経済学対話――」https://akamac.hatenablog.com/entry/20070302/1172826551)。ただ著者だけが丸山を正しく理解している(できている)とはかぎらない。誤読や誤解があり,議論があって丸山理解は進む。そんな寛容さが欲しい。