書誌情報:メディアファクトリー,108頁,本体価格2,800円,2001年8月31日発行
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昨日の備忘録を書いて思い出したのがこの写真集。
ベルリンの壁は,やがて崩壊する1989年時点で,総延長155キロメートルあった。コンクリートの壁は106キロメートル,残りは金属製のフェンスだった。最も頑強な壁は,東側から見て高さ4メートルの第1のコンクリートの壁があり,その内側に向かって,6〜15メートル幅で砂の幹線路,3〜5メートル幅の戦車障害壕,3〜4メートル幅の車両用監視道,さらに高さ5メートルの投光照明灯が設置され,高さ2メートルのセンサーがはめ込まれたフェンス壁,空き地を挟んで高さ2メートルの金属製の第2の壁がある,というものであった。
ベルリンの壁とはこの例のように,第1と第2の壁には500メートルもあったし,壁の全域に高さ10メートルの302の監視塔(500メートルに1塔の割合)があった。ドッグランには監視犬259匹も放たれていた。(以上のデータは「序文」をもとにしている)
ベルリンの壁は1961年8月13日から1989年11月9日まで「社会主義を守る守護壁」として存続したのだった。
評者がほんの短時日ベルリンに滞在したのは1998年のことだ。統一ドイツの新首都となったベルリンは早朝から建設工事の音が響き渡っていた。本書の著者(写真家)もちょうどその頃(1999年と2000年)壁が取り払われたベルリンのかつて分断されていた場所を撮った。いまとなっては見えなくなった境界や残滓をWESTとEASTのアルファベットで写真上に表示し,壁崩壊後10年のベルリンの一部分を紙上に写し取った。
見えない壁を撮ることによって壁の実存を想像させる見事な構図といっていいだろう。さらに10年を経て,本書のなかの多くは大きな変貌をとげているだろう。
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