782吉田友和著『3日もあれば海外旅行』

書誌情報:光文社新書(614),251頁,本体価格760円,2012年11月20日発行

3日もあれば海外旅行 (光文社新書)

3日もあれば海外旅行 (光文社新書)

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旅慣れた人の旅の仕方はさすがに違う。時間とお金の節約,航空券の予約,週末旅行,LCCを利用した世界一周,マイラー入門,ホテル探しのポイント,デジタル機器の利用など実用本位の個人旅行本である。
航空券予約サイト,航空券の運賃種別,デジタル機器活用,旅アプリ10選はすぐにでも役立つ。旅をしながら仕事もする「ノマドワーキング」は著者だからこそできるスタイルだろう。「旅は行きたいときが行きどき」・「行きたいときに行きたい場所へ行く」を基本にしつつ,「あれこれ小賢しい」本書を読むのが一番いい。
バックパッカーのような自由旅行だが使うときには金を使うことを惜しまない現代的旅人を「フラッシュパッカー」,従来型の貧乏旅行は「バジェットパッカー」と呼ぶそうである。評者も含めて多くの日本人には航空券と現地空港送迎,ホテルのみがセットになった「スケルトンツアー」が人気である。
「スケルトンツアーの内容はなかば定形化しており,何度か行くと想像がついてしまう。現地での自由行動時間の過ごし方はガイドブックを参考にするが,ガイドブックもこの手のツアー客向けに特化して編集されているのが現状」(46ページ)で,「最大公約数的な型にはまった内容ではなく,細かなニーズを汲み取った,テーマ性の強いツアーが求められている」(47ページ)。国内旅行も海外旅行もこの「スケルトンツアー」花盛りなのは旅行者のニーズの多様化と旅行業者の「テーマ性」の追求との緊張関係にあるからだ。
旅行初心者にとってはスケルトンも悪くはない。