書誌情報:岩波ブックレット(857),61頁,本体価格500円,2012年12月4日発行
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昨年11月に「過労死防止基本法制定実行委員会」が結成された(11月18日)。呼びかけたのは「全国過労死を考える家族の会」と「過労死弁護団全国連絡会議」である。それをうけて大阪実行委員会が立ち上がり,「ストップ! 過労死 大阪のつどい――過労死防止基本法の制定を――」が開催された。本ブックレットはこのつどいの内容をまとめたものだ。
木津川計「命より大切な仕事って何ですか――人間らしく生きるために――」,森岡「今,なぜ過労死防止基本法か」,リレートーク「過労死家族の訴えと職場の現状」,塚野信子「「過労死」が死語になる日」,関連図書紹介(下記リスト)からなっている。
木津川の「サービス残業というものが当たり前になっている,働きすぎが日常的になっている,体力も気力も衰えて,果ては過労死に至るという奴隷工場のような,死に追いやるような,そういう労働の日常性」(18ページ)の指摘は労働時間と自由時間を考える大事な視点である。
森岡の「法律を整備して,実態を把握し,取り組みを強めるなら,犠牲者を減らし,なくしていくことは可能」(43ページ)として「過労死防止基本法」の制定提案は,どんな政権になったとしてもその気さえあれば議員立法や内閣提出法案として成立させることができるはずである。森岡の整理によれば,基本法は40ほどあるが(男女共同参画社会,食品安全,少子化社会対策,食育,住生活,自殺対策,がん対策,肝炎対策,東日本大震災振興,スポーツなど),労働分野のそれは皆無という。
過労死も長時間労働もブラック企業問題も個別企業の問題ではなく国・自治体・事業主あげて取り組まなければならないことがはっきりしている。
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