855來本雅之編著小沢健志・三浦正幸監修『レンズが撮らえた幕末日本の城《永久保存版》』

書誌情報:山川出版社,254頁,本体価格1,800円,2013年4月25日発行

レンズが撮らえた幕末日本の城―永久保存版

レンズが撮らえた幕末日本の城―永久保存版

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気が向いた時に写真集を眺めるのは評者の楽しみのひとつだ。ヌード写真はとっくの昔に卒業し,いまは写真黎明期の歴史的対象物や外国の風景・建物・人物などに目が行く。
日本の134城,720点の古写真は,幕末当時の貴重な記録になっている。現存天守は12城(弘前城松本城犬山城[現存最古],丸岡城彦根城,姫路城,松江城備中松山城丸亀城伊予松山城宇和島城高知城)であり,明治維新以降に消失した天守で古写真が残っているものは29城にも及ぶという。後者には,史上最大級の名古屋城犬山城と同時期岡山城広島城,層塔型の丹波亀山城といった現存天守をはるかに価値をもったものも含まれている。
戦後に再興された天守の多くは鉄筋コンクリートによる外観だけの復元だ。木造による近年の再建は伊予大洲城,白河小峰城など数は多くない。
仙台城会津若松城江戸城松本城名古屋城彦根城大坂城,姫路城,松江城岡山城津山城広島城福山城,萩城,高松城宇和島城福岡城,熊本城,鹿児島城については多くの古写真で往時の城を記録している(江戸城は20ページ)。城ファンならぬ素人(=城人)にも楽しめた。