書誌情報:イースト・プレス(MD104),190頁,本体価格552円,2012年4月10日発行
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「まんがで読破」シリーズ(→http://www.eastpress.co.jp/manga/)も100作を超えた。
主人公・玄白以外にも前野良沢,中川淳庵,大槻元節(玄沢),平賀源内,桂川甫周とすべて実在の人物が登場する。翻訳を開始するまでの事情と腑分けの実見による裏付けをしながら『ターヘル・アナトミア』の語から訳語の確定の様子を描き出している。
腑分けをする下人・虎松の祖父に語らせている印象的な部分は「医者というものは体を扱う仕事なのに……罪人の死体を触りたくないのか自分で知ろうともしない/興味がないのかわしが指し示す臓器を質問もせずに見るだけ」(36ページ)だろう。腑分け人がすでに臓器を知っていたのだ。
語学に秀でていた良沢との出版をめぐる考え方の違いや西洋絵画の技術をもった小田野直武との出会い,さらにはみずから解剖をする小石元俊のエピソード,『蘭学事始』の玄沢による出版,福沢諭吉の登場の予告と続く。
マンガと侮ることなかれ。「新しい知を求めた開拓者たち」が躍動していた。
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