書誌情報:イースト・プレス(MD114),190頁,本体価格552円,2012年9月10日発行
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「まんがで読破」シリーズ(→http://www.eastpress.co.jp/manga/)の114作目である。
『古代への情熱』(岩波文庫,1976年改版,[isbn:9784003342015])は高校時代に旧版([asin:B000JB5LBS])で読み,ホメロスが謳ったトロイアを導きの糸として発掘に成功する話とともに,独特の語学習得法に興味をもったことがあった。本書でも音読,翻訳,作文以外に本を丸暗記することで18カ国語を習得したエピソードを描いている。評者も英語とドイツ語をシュリーマン式を実践したのだが,暗記する本の数ページで挫折している。レクラム文庫版『共産党宣言』は2ページ目に到達することはなかった。シュリーマンの丸暗記方法は大声での朗読に彼の工夫があったようだ。
主な登場人物は,シュリーマン本人,妻ソフィア,幼なじみのミナ・マインケ,父エルンスト,トロイア発掘に協力した建築家・ヴィルヘルム・デルプフェルト,シュリーマンに関心を寄せた考古学者・ルードルフ・フィルヒョーである。商人として成功しその財力を元にトロイア発掘に挑戦するまでと古代ギリシャ先史時代の研究に広がる学者としての活躍とを柱として『古代への情熱』を展開している。
まんがでも十分にシュリーマンの情熱が伝わっている。まんがを読む情熱があれば『古代への情熱』を読む情熱も出てくるかもしれない。
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