書誌情報:学校法人松山大学,111頁,非売品,2013年10月22日発行
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松山大学の前身校である松山高等商業学校が開校したのは1923(大正12)年4月25日である。当初は本館建設中で,隣接する北豫中学(現松山北高校)の校舎を借りての間借り授業だった。翌年4月に本館が落成し(松山最初の鉄筋コンクリート造),10月10日に開講式を挙行する。この時の記念写真(5ページ)には4月に北豫中学校長に就任した秋山好古が写っている。来賓として招かれたそうだ。
松山高等商業学校はその後松山経済専門学校(1944年),松山商科大学(1949年)を経て松山大学(1989年)となる。現在では経済学部,経営学部,人文学部,法学部,薬学部の5学部である。
本書は松山大学の歩みを,写真と略史年表で辿る記念誌である。略年表に目を通すと住谷悦治への言及があった。
・1938(昭和13)年2月16日 市教育会主催国民精神総動員強調週間の催しに住谷悦治教授出講
・1940(昭和15)年12月5日 台湾視察団(団長・住谷悦治教授) 加藤会館で壮行会
・1942(昭和17)年7月31日 住谷悦治教授 思想関係の事情により退職
また,学徒出陣や住谷以外の「思想関係の事情により退職」の記述がある。
・1943(昭和18)年11月19日 学徒出陣のため2年生(第20回生)の一部仮卒業式挙行
・1944(昭和19)年9月1日 第20回生残留者繰上げ卒業式挙行
・同年9月21日 長崎三菱造船所に勤労動員中の生徒95名が招集を受け出征
・同年11月20日 古川洋三教授 思想関係の事情により退職
松山高商が戦時体制に巻き込まれていく様子をみてとることができる。時代を下って大学紛争時に目を転じる。
・1969(昭和44)年10月21日 国際反戦デー 「商大学生同盟」「愛媛大学全共闘」が新本館を封鎖
その前後には体育館問題での学生決議(1966年5月17日),エンタープライズ寄港反対立て看板撤去に対する抗議集会(約300名の学生参加)(1968年1月19日),学友会代議員会で検印制度廃止,学内政治活動の自由を決議(同年6月21日),新本館をバリケード封鎖,臨時学生大会を開催し,学友会が自主解除の具体策を討議(1969年10月21日),授業料値上げ反対ストライキ(1971年1月),3日間授業料値上げ反対で授業放棄(1974年6月20日)などが目に着く。いわゆる「68年」と70年代初めの授業料値上げ反対である。後者は71年に国立大学の授業料が一気に3倍になるということもあったから,国立・私立を問わず大きな問題であったことを伺わせる。
本誌のほか,『90周年の記録』の刊行の予定もあるとのことだ(→http://www.matsuyama-u.ac.jp/mu90/anniversary/index.php)。
- 関連エントリー
- 学徒出陣70年→https://akamac.hatenablog.com/entry/20131021/1382362257
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