書誌情報:日経ビジネス人文庫,i295頁,本体価格800円,2014年9月1日発行
アダム・スミス ぼくらはいかに働き、いかに生きるべきか (日経ビジネス人文庫)
- 作者:木暮 太一
- 発売日: 2014/09/02
- メディア: 文庫
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『いまこそアダム・スミスの話をしよう――目指すべき幸福と道徳と経済学――』(マトマ出版,2011年12月)に加筆編集をして文庫化したものだ。現代の生きづらさを解消すべく,経済学者スミスではなく道徳哲学者兼経済学者スミスに立ち戻って考えようとしていた。
スミスを自由放任主義者や利己主義者と一面的に捉える見方はたしかに存在する。道徳哲学者として出発し『道徳感情論』(『道徳情操論』とも)の大著を,経済学書『国富論』に先だって世に問うたスミスを対象にしたのはもちろん著者が初めてではない。堂目本(関連エントリー参照)が大きなきっかけになったのはまちがいない。ビジネスパーソン向けに読者を想定した著者の着眼がいい。
経済発展と国民の幸福,市場・競争と政府の役割というスミスの問題提起は,会社・企業中心で回っている現代社会においては意味がある。著者がスミスから読み取った「賢人」は,会社人間や利益至上主義者とは異なっているからである。
- 関連エントリー
- 木暮太一監修『図解 これならわかる! マルクスと資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090605/1244209402
- 木暮太一著『マルクスる?――世界一簡単なマルクス経済学の本――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090213/1234533673
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- アダム・スミス没後224年→https://akamac.hatenablog.com/entry/20140716/1405518925
- アダム・スミス著(高哲男訳)『道徳感情論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130905/1378390340
- アダム・スミス作(バラエティ・アートワークス漫画)『まんがで読破 国富論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130809/1376056650
- 大阪商業大学図書館稀覯本特別展示・講演会→https://akamac.hatenablog.com/entry/20121222/1356184631
- ダンカン・K,フォーリー著(亀崎澄夫・佐藤茂正・中川栄治訳)『アダム・スミスの誤謬――経済神学への手引き――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120830/1346337707
- スミスの肖像だけじゃない20ポンド紙幣→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120211/1328972466
- 『東京人』12月号特集「東洋文庫の世界。」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20111114/1321279553
- 中川栄治著『「アダム・スミス価値尺度論」欧米文献の分析――基本的諸問題を巡って――』(上)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110810/1312985342
- 水田洋著『思想の国際転位――比較思想史的研究――』,同『新稿 社会思想小史』,同『アダム・スミス論集――国際的研究状況のなかで――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110626/1309096750
- ロンドンの「エコノミスト・ウオークス」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100721/1279724183
- アダム・スミス没後220年→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100717/1279377044
- スミスもミルもマルクスもケインズも読めるiBooks→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100612/1276357835
- アダム・スミス著(大河内一男監訳)『国富論III・IV』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100502/1272788249
- アダム・スミス著(大河内一男監訳)『国富論I・II』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100212/1265985185
- アダム・スミスとAuld Lang Syne(続)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20091226/1261836882
- 古典の翻訳とは→https://akamac.hatenablog.com/entry/20091206/1260106360
- ジェイムズ・バカン著(山岡洋一訳)『真説 アダム・スミス――その生涯と思想をたどる――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090703/1246630801
- 東洋文庫にある『国富論』初版本→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090203/1233671668
- 堂目卓生著『アダム・スミス――『道徳感情論』と『国富論』の世界――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080408/1207647428
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