書誌情報:青土社,204頁,本体価格1,500円,2014年9月25日発行
- 作者:今野浩
- 発売日: 2014/09/22
- メディア: 単行本
- -
ヒラノ教授は順風満帆の学者人生を歩んできたように思っていた。若き日に博士号を取るべくスタンフォード大学とウィスコンシン大学での研究生活は,不眠症に陥ったり論文が酷評されたり散々な目にあっていたのだった。
「才能が50%,努力が30%,運が20%」との若い頃のヒラノ教授の人生訓は,博士号取得のためのアメリカ留学と本書で初めてふれる万年助教授だった父親の人生から,「運が80%」になる。不遇だった父親の経路と地震の猪突猛進とを重ね合わせたレクイエムになっていた。
数学者だった父親はある数学の定理を証明したが指導教員からは無視された。再証明したY教授がその後学士院賞を受賞する。証明競争に敗れた父親の真実を知るまでには50年経っていた…。
ヒラノ教授シリーズはエリート臭さががして評者の読後感は快指数45だった。父親の人生に思いを馳せ,人間模様の機微に触れた本書は快指数85に急上昇した。
- 関連エントリー
- 今野浩著『ヒラノ教授の線形計画法』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20141117/1416233102
- 今野浩著『工学部ヒラノ教授のアメリカ武者修行』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130831/1377957658
- 今野浩著『工学部ヒラノ教授と七人の天才』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130814/1376489934
- 今野浩著『工学部ヒラノ助教授の敗戦――日本のソフトウェアはなぜ敗れたのか――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130226/1361888577
- 今野浩著『工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130215/1360938174
- 今野浩著『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120812/1344788295
- 今野浩著『工学部ヒラノ教授』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110901/1314886469
- 1年前のエントリー
- 2年前のエントリー
- 政治経済学・経済史学会編『歴史と経済』第218号→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130129/1359467669
- 3年前のエントリー
- 久保亨著『社会主義への挑戦 1945-1971――シリーズ中国近現代史④――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120129/1327848367
- 4年前のエントリー
- 小林昇著作目録ブログ版(1963)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110129/1296307223
- 5年前のエントリー
- おさぼり
- 6年前のエントリー
- 大学犬はなちゃんの日常(その99)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090129/1233236788
- 7年前のエントリー
- 平田清明著作目録ブログ版(1972)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080129/1201600381