1253NHKスペシャル取材班著『縮小ニッポンの衝撃』

書誌情報:講談社現代新書(2436),198頁,本体価格740円,2017年7月20日発行

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同名のNHKスペシャル(2016年9月25日放送)は人口急減社会の実態を明らかにしていて,「衝撃」をもって観た記憶がある。
東京一極集中のお膝元で進行する人口減少区・豊島区,財政破綻した夕張市,公共サービスが受けられない島根県雲南市,農村撤退の選択を余儀なくされる島根県益田市京都府京丹後市,東京圏のなかで最も人口が減少した横須賀市の事例は地方や都市の未来図でもある。
東京一極集中はかつてのそれとは違って地方から逃げ出した結果である「ネガティブな集中」であること,自治体格差が子どもたちの「命の格差」になっていること,島根県では戦後から現在までにすでに82の集落が無住化したこと,「過疎」という言葉が昭和40年代に益田市(旧匹見町)で生まれたことなど縮小の中味を具体的に知りえた。
このスペシャルは,処方箋を出すにはいたらない大きな問題に迫り,地方も東京も同じ問題に直面していることを可視化した。