1323マルクス(原作)岩下博美(まんが)『資本論』

書誌情報:講談社まんが学術文庫(0004),222頁,本体価格680円,2018年4月9日発行

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「読んでおきたい人類の叡智を,面白く読破!」「難解な名著も,まんがでスラスラ! 分かりたいあなたのための教養エンタテインメント!!」。帯には「!」が4個も踊っていた!
それはともかくすでにマルクスと『資本論』にはマンガ本がある。現代の日本だからこそ『資本論』は買ってもらえると判断したのだろう。
ひとまず商品論,価値論,剰余価値論のエッセンスを織り込み,資本家に成り上がったロイ,経営者として智慧を授けるレズリー,そして可憐な元貴族のクレアを登場させ,馘首や過度労働によって労働者から反撃をくらい悲惨な死を遂げるロイで資本主義を描いていた。
大量の労働者が生まれる資本主義の本源的蓄積や労働条件を人間らしいものにする歴史は一切省かれていた。W-G-W を Worth と Gold に読み替えてもしていた(194ページ)。「胸を打つ恋物語」ははたして『資本論』を読み解くことに成功しているだろうか。