1669原田マハ著『丘の上の賢人 旅屋おかえり』

書誌情報:集英社文庫(は-44-5),210頁,本体価格580円,2021年12月25日発行

長編小説『旅屋おかえり』(集英社文庫,2014年,[isbn:9784087452259])の連載時には掲載されていたが,書籍には収められなかった北海道編(札幌および小樽),エッセイ「フーテンのマハSP 旅すれば 乳濃いし」(札幌および帯広)およびおかえり修学旅行時のエピソードを描いた勝田文漫画「おかえりの島——旅屋おかえり——」からなる。
著者にとって北海道は,かつて真冬の釧路・鶴居村までのひとり旅で,雪原で舞い踊るタンチョウに「このまま進んでもいいから?」と問いかけたところ,「クアー!」と返事があり,作家の道を歩んだという著者の「運命の地」である(158ページ)。
動画「フール・オン・ザ・ヒル」に映り込んだ男に会いに行って欲しいとの依頼を受けた旅の代理人おかえりは,モエレ沼公園を目指す。そこには,なさそうでありそうな人間ドラマがあった。