1806半村良著『小説 浅草案内』

書誌情報:ちくま文庫(は-48-1),332頁,本体価格780円,2017年4月10日発行

半村良といえば,森村誠一西村寿行とともに1970〜80年代に「三村(さんむら)」と称された人気作家だった。半村は2002年3月4日,西村は2007年8月23日,森村は昨年2023年7月24日に鬼籍に入られた。
「三村」では森村作品の多くを読んだが,半村作品は半村が晩年「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者になったことから縁遠くなった。半村が1984年に引っ越していた苫小牧から1987年に浅草に引っ越してからの身辺エッセイが本書である。清水義範柿沢弘治らが実名で登場するが,主人公は古き良き時代の日々浅草で生活し商売している人たちだ。12の物語に漂う人情と人間模様がいい。
新潮社からの単行本(1988年10月)と新潮文庫(1991年10月)がある。