書誌情報:岩波新書(2064),3+212頁,本体価格940円,2025年5月30日発行
著者の旧著『拉致と決断』(新潮文庫,[isbn:9784101362229])は評者にとっても忘れがたい一書だった。というのも,卓球のオリンピック(1988年ソウル大会から)と世界選手権での男女のシングルスの日本選手の優勝者は1979年世界卓球平壌大会での小野誠治選手にさかのぼり,同年7月に新潟県で拉致された直後の著者が北朝鮮の招待所でテレビ生中継を感染させられたエピソードが綴っていたからである(本エントリー「田辺武夫著『卓球アンソロジー』参照→https://akamac.hatenablog.com/entry/20161130/1480514741)。
北朝鮮工作員要員に育成するために拉致され,それが頓挫すると何か所かの招待所での工作員のための日本語教師,情報報告分用の各種記事抽出などに従事させられた。日本で拉致被害者家族会が結成され,活動していることを知ったのは皮肉にもこの情報収集活動でのことだった。拉致被害に関する日本の警察情報も保存されていたという。
2002年10月15日,著者ら拉致被害者5人が帰国することができた経緯や飛行機のタラップを降りるときの喜びと不安の同居の理由も,「8人死亡,2人未入境」の虚偽もよくわかる。
『世界』に連載された13回の記事(2023年1月号〜2025年1月号まで隔月掲載)に加筆・修正した本書は拉致問題が北朝鮮が主張する解決済みとは到底言えないことを教えてくれる。
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