1844吉見義明著『日本軍慰安婦』

書誌情報:岩波新書(2072),275+15頁,本体価格1,120円,2025年7月18日発行

慰安婦制度は性奴隷制度であるにもかかわらず,安倍首相(当時)は「性奴隷という事実はない」と述べ,岸田首相(当時)も性奴隷という言葉は「事実に反するものであり,使用すべきではない」と述べた。菅政権では教科書記述の「従軍慰安婦」に代わって「慰安婦」に修正させている。日本政府は慰安婦を軍とは無関係に存在したとするまでにいたっている。
軍という国家機関が性的施設を提供したがゆえに「従軍慰安婦」(旧著のタイトル)・「日本軍慰安婦」なのであって,「慰安婦」という一般名詞化は歴史を捏造するにひとしい。
日本軍慰安婦・所には高級将校,将校,下士官,兵,兵補(東南アジアで徴収された日本軍の補助兵)と序列化され,運営形態も軍直営,軍専用,軍利用があった。満州事変から日中全面戦争期,アジア太平洋戦争期まで,日本,朝鮮,台湾,中国,東南アジア・太平洋地域で多くの女性が集められ,現地軍によって管理・統制されていた。ひとたび軍慰安所に入れられれば自由を剥奪され性的行為を矯正された。まさしく性奴隷制度である。
ソ連や連合国の慰安所政策,軍慰安婦賠償問題の歴史と課題についても触れている。