1851加藤喜之著『福音派ーー終末論に引き裂かれるアメリカ社会ーー』

書誌情報:中公新書(2873),308頁,本体価格1,200円,2025年9月25日発行

アメリカを理解するには,宗教,人種,政党の3つと言われることがある。なかでもアメリカでキリスト教といえばプロテスタントを指し,いまでも多数派である。そのプロテスタントには会衆派,長老派,バプテスト派,メソジスト派聖公会,ルターは,ペンテコステ派など多くの宗派が存在する。
本書は,終末論を特徴とする福音派が生まれた歴史的背景を追い,20世紀初頭からの原理主義から福音派への転換を伝道師ビリー・グラハム,「ボーン・アゲイン」大統領ジミー・カーター,作家ハル・リンゼイを通して特徴づける。1970年以降のモラル・マジョリティ運動とレーガン政権との結びつきやオバマ・ケアとの関連,子ブッシュ政権での福音派優遇宗教政策,イスラエル政策や中絶,同性婚などで協調するトランプ時代も丁寧に描かれている。
ネオコン福音派には「思想的な共通点はほとんどない」(147ページ)。「召し」(英語calling,ドイツ語Beruf)によって過ちを改心した子ブッシュが「軍事政権と中東における権益の確保」(ネオコン)と「世界宣教やイスラエル保護」(福音派)を結びつけることになった。第2次トランプ政権で執拗に続くリベラリズムやDEIへの攻撃や福音派の養殖への起用は福音派の影響力を物語っている。