124デイヴィッド・ボダニス著(吉田三知世訳)『エレクトリックな科学革命――いかにして電気が見いだされ,現代を拓いたか――』

書誌情報:早川書房,330頁,本体価格2,000円,2007年8月25日

エレクトリックな科学革命―いかにして電気が見出され、現代を拓いたか

エレクトリックな科学革命―いかにして電気が見出され、現代を拓いたか

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電信,電話,電球,電気モーター,無線,レーダー,コンピュータ,はては生きた電気回路である生物の脳神経系にいたるまで電気の働きにかんする研究を,発見者の個人史や信仰の問題などを織り交ぜて描いた歴史物語である。『E=mc²――世界一有名な方程式の「伝記」――』(伊藤文英・高橋和子・吉田三知世訳,早川書房,2005年6月,asin:4152086491)の著者による物語は,科学史のおもしろさを充分につたえている。ニュートン古典力学から電磁気学への展開,マクスウェル方程式の意味など素人でもわかった気になるから不思議だ。
たとえ話を使った説明の多用は本書の特色でもあり,図などのほうがよりわかりやすくなったのではないかと思う。いずれにしろ,興味を持ったら末尾の「さらに詳しく学ぶために――参考文献」も用意してあり,心憎いばかりの構成だ。