1096石川文洋著『フォト・ストーリー 沖縄の70年』

書誌情報:岩波新書(1543),viii+231+2頁,本体価格1,020円,2015年4月21日発行

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沖縄で生まれたとはいえ4歳までの沖縄人の著者はみずからを「在日沖縄人」と呼ぶ。戦後70年の沖縄の歴史は沖縄戦の記憶と米軍基地とを切り離して語ることはできない。「在日沖縄人」のカメラの先にはつねに沖縄と戦争・軍隊とが同居して現実を見ている。
沖縄が「核つき基地つき」で本土に復帰した5日後の1972年5月20日のこと,中国卓球団が沖縄を訪問していた。前年の名古屋での世界卓球選手権大会で米中和解のきっかけになった「ピンポン外交」の延長にあったのだろうか。沖縄の本土復帰後初の外国スポーツ選手の訪問だった。「まだ日本との国交も正常化していないときだったが,ベトナム情勢を横目で見ながらの,アメリカの了解のもとでの沖縄訪問だった」(139ページ)とある。4ヶ月後,日中間に国交が結ばれた。
喜寿を迎えた私よりずっと年齢の若い安倍晋三さん,あなたが今,辺野古新基地建設を中止し,他の基地の早期返還に努力し,集団的自衛権行使ほか戦争に関する立法をやめて平和への道を進めば,あなたを偉いと尊敬します」(231ページ)。