1760岩倉博著『ある戦時下の抵抗ーー哲学者・戸坂潤と「唯研」の仲間たちーー』

書誌情報:花伝社,250+12頁,本体価格2,000円,2015年8月20日発行

若き京都学派で,マルクス主義哲学者で戦前の唯物論研究会を主導した戸坂潤と三木清は,ともに1945年に獄死している。検挙の理由にされた治安維持法廃止がGHQの指令によって廃止された10月15日の直前,戸坂は長野刑務所,三木は豊多摩刑務所においてである。戦後に発足した民主主義科学者協会や現在の日本科学者会議は戸坂や三木たちが命をかけて開拓した反ファシズムと民主主義運動の延長に位置する。
「おけさほど唯物論はひろがらず」(戸坂,2935年8月佐渡)とはいえ,おけさのように戦時下の抵抗思想と運動は継承されている。