052ものづくり技術者育成支援事業

2007年度からはじまった「ものづくり技術者養成支援事業」の採択結果が6日公表された(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/09/07090601.htm)。他のGPは集計した表や申請一覧など詳しく発表しているが,選定一覧と結果(79件申請,12件採択)のみといういたって簡単なものだ。すべてを公表できない理由があるのだろうか。

2007年度 ものづくり技術者育成支援事業

整理番号 大学等名 プロジェクト名 プロジェクト概要
1 埼玉大学 バーチャルトレーニングと実習を融合したものづくり技術者の育成支援 本プロジェクトでは,本学で開発したVR技術と情報通信技術を融合したインタラクティブ型技能伝承・技能訓練システムと地元企業でのインターンシップにより,新たなものづくり教育を実践する。本学が持つ知識資源・技術資源と地元企業が持つ技能資源との間にインタラクティブな技術・技能交流ネットワークを形成し,本学学生は地元企業のもつ技能や企業ニーズを学びつつ,ものづくりの知識と技能を効果的に学習できる。
2 横浜国立大学 実践的PBLものづくり教育の拠点形成 1つの専門に偏らない総合工学的なものづくりによるPBL(Project/Problem BasedLearning)教育を通じて,高い問題解決能力と実践力を有し実社会での即戦力となりうる優秀なエンジニアを育成する。ものづくり実習による学生のセルフエデュケーションを重視しつつ,ものづくり教育NPO法人ドイト・ヨコハマ」主導による産学連携により,企業人と教員による協同的な教育を永続的に行う。
3 富山大学 製品開発体験実習による実践的ものづくり技術者育成 産学連携型ものづくり教育科目「製品開発体験実習」を核とするものづくり教育プログラムにより,本物を作れるものづくり力を有する即戦力の技術者を育成することを目的とする。製品開発体験実習では,学生グループと教員が企業技術者とチームを組んで,製品の構造や開発プロセスの理解,設備の見学を実施するとともに,企業の実際の技術課題の解決に取り組む。また,製品開発セミナーでは,実際の製品開発に対する考え方を学ぶ。
4 信州大学 ひと・ものづくりプロジェクト――熟練技術の伝承と『稼げる』技術者育成プログラム―― リタイアした熟練技術者集団が運営する「ものづくり技術伝授事業所(株式会社メルト)」に学生を派遣し,大学教育に不足している実践的なものづくり技術を習得させる。そこで「免許皆伝」となった学生が中心になり,企業技術者・大学教職員・アドバイザを加えた研究開発チームを編成し,企業が求める新技術・製品を研究開発する。学生は講義や実験実習で学んだ内容を,企業ニーズに直結させる形で,自発的に学び取ることができる。
5 金沢工業大学 新しい形のプロジェクト型教育システムの開発と実践 本プロジェクトは,本学がこれまでに実施してきた学生チームによる創作活動を基盤として,企業で行なわれている開発プロセスを模擬した教育プログラムを新たに開発します。本学と企業による「共同教育」という考えに基づき,学生は学内や企業で体験して学んだことを可視化できる形で残し,それを後輩等に教えて更に学ぶという仕組みを有します。これにより,ものづくりの全体が見渡せ,目利きとしての素養が身に付きます。
6 近畿大学 東大阪モノづくり技術者育成プロジェクト 学生−教員−企業技術者が三位一体となった産学連携(人材育成の産学連携)によって,モノづくり技術を修得し,革新的新技術を開発することのできる,実社会と乖離しない技術者を育成するプログラムを構築する。近畿大学独自の人的資源であるシニアサイエンティスト・シニアエンジニアおよび東大阪モノづくり専攻の大学院生も参画し,多様な価値観をもった複数の人間が人材育成に関与することにより学生の俯瞰的能力を養う。
7 釧路工業高等専門学校 北方型住宅建設を介した地域連携によるトータルマネジメント能力育成プログラムの開発 環境問題に配慮しつつ,快適な生活環境を作り出す技術が求められている現在,多様な問題に対してバランスよく解決できる能力(トータルマンジメント能力)を持つ技術者育成は喫緊の課題である。本プロジェクトで開発するプログラムの特色は,寒冷な地域に蓄積された技術や人材と,建築学科を擁する釧路高専が連携し,北方型住宅の建設を通してさまざまな現実的問題を解決しながらトータルマネジメント能力を育成することにある。
8 鈴鹿工業高等専門学校 エキスパートのスキルと感性を導入した創造工学プログラムの構築 本校のものづくり教育の核である「創造工学」の授業に,熟達した企業退職技術者(エキスパート)のスキルと感性を導入し,ものづくりの流れと勘所が理解できる実践的技術者の育成を図る。そのため,地域の産学官連携組織と卒業生技術者ネットワークを活用した「ものづくり技術者育成支援組織」と創造工学担当教員の企業研修システムを創出し,ものづくり工程全体を見渡してその適否が判断できる技術者を育てるための創造工学プログラムを構築する。
9 徳山工業高等専門学校 複合技術商品の導入により知識を知恵に変えるものづくり教育プラン 本取組は,地域産業界等との連携のもとで専攻科における従来の実践的教育方法を改善・発展させるものであり,各専攻で修得すべき複合技術が集積した商品を対象として,講義で学んだ知識を生きた教材のなかで理解するとともに,応用的内容も加味しつつ,企画から設計・製作まで一貫して学ぶことで個々の分野の知識を有機的に結びつけることを通し,修得した知識を知恵に変える高度なものづくり教育プランの構築をめざしている。
10 阿南工業高等専門学校 ものづくりエリート技術者養成コーオプ教育プロジェクト 北米で実践的技術者教育として実績のあるコーオプ教育に着目し,高専低学年(3年生)から専門カリキュラムとリンクしたコーオプ教育を実施し,専門知識・理論の学修と製造業界の団塊ベテラン技術者指導下における現場就業を交互に実施することにより,団塊世代の技術の伝承を高専生に行うとともに,知識・理論の実践力と製造業が求める真のものづくり能力を兼ね備えたものづくりエリート技術者を地元企業に供給する。
11 金沢工業高等専門学校 16歳からの“将来の工場長”育成教育プログラムの開発と実施 本プロジェクトは,将来の工場長に必要な知識・技能・態度の涵養を目標とし,地元機械電気製造企業と共同で,メカトロニクスを題材に機械工学科の全学生がチームで行う実践的教育プログラムを開発し実施する。具体的には,ベテラン技術者と教員が共同で行う講義・実習を組合せたものづくり教育を通し,エンジニアリングデザイン・マネジメント技法を用い,技術全体や生産過程を通観し改善提案ができる総合的能力の育成を図る。
12 豊橋技術科学大学豊田工業高等専門学校岐阜工業高等専門学校京都造形芸術大学大阪芸術大学 次世代ロボット創出プロジェクト――地域や世代間の協働による創造的・実践的かつ指導的技術者の育成―― 本プロジェクトは,機構設計,電子デバイス・情報技術に加え,プロダクトデザイン等を専門とする多彩な学生,高専生から大学院生,地域の企業ネットワークの技術者などの多様な世代の協働により,製品レベルに近い「次世代ロボット」を創出するネットワーク型オープンラボを組織し,その中で企画提案力,総合技術力,プロデュース力やマネジメント力の養成を狙いとする創造的・実践的技術者教育プログラムを開発し,実施する。