書誌情報:未來社,271+xvi頁,本体価格2,400円,2009年3月25日発行
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カント,フンボルト,フィヒテ,シュライアーマッハー,シェリング,ヘーゲル,ショーペンハウアー,ニーチェ,ハイデガー,オルテガ,ヤスパース,デリダなど19世紀以降の哲学者の大学論を,哲学の営為と大学制度・理念との関係を問う論集である。
哲学(広い意味でのリベラル・アーツ)が大学の理念であるとは「もはや失効している」(8ページ)という「「没落の歴史」の考察」(同)と大学にエクセレンス(卓越性)をもとめ競争原理にさらされているという批判的見地とが主旋律になっている。
哲学者の大学論を繙くことで大学の困難を再考しようという意欲は強く感じることができる。大学の困難の希望学が本書の特徴だ。ただし,ヨーロッパ(独・仏)にかぎられており,英米系や日本の文脈から見たときにこれら希望学がいかなる着地を見いだすか。興味はつきない。
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