334森嶋通夫文庫が京都に――コレクション雑感――

「池上惇ブログ文殊文庫便り」によると,森嶋の蔵書(手稿も含む)が京都に新設予定の文化政策・まちづくり大学院大学の図書館に「森嶋文庫」として納められる(→http://kotoba.ruskincollege.org/?day=20100618)。森嶋の名前を知らない官僚(?)がいたとは絶句するしかない。
アメリカのデューク大学には著名な経済学者の一大コレクションがある。大塚久雄文庫(福島大学),山田盛太郎文庫(龍谷大学)の例のように日本ではようやく一大学の(強い意思を持った教員個人の)努力によってなんとかコレクションが創られている。
服部文男関係蔵書は,父・英太郎蔵書――ベルリン留学時代のコレクションが中心――が尚絅学院大学宮城県名取市)に,服部文男蔵書――門下生たちからの寄贈図書を含む――が中国・清華大学に,それぞれ寄贈され,図書館の貴重な一角を構成するとのことだ。個人蔵書が第2の「書」生を送るわけだ。

追記挿入:2011年1月27日 尚絅学院大学「服部英太郎 服部文男文庫」については以下のような資料がある。

  1. 「服部英太郎 服部文男文庫の贈呈式を執り行いました」→http://ap.shokei.jp/information/detail.php?p=268
  2. 「式次第」(pdfファイル)→http://ap.shokei.jp/mod/dl.php?d=61ccea59202b1386b93360e3b723a8f9a642d972&i=pdf1
  3. 「服部文庫について 文:東北大学大学院経済学研究科 大村泉教授」(pdfファイル)→http://ap.shokei.jp/mod/dl.php?d=61ccea59202b1386b93360e3b723a8f9a642d972&i=pdf2
  4. 「服部文庫 鑑定書(日本語訳)」(pdfファイル)→http://ap.shokei.jp/mod/dl.php?d=61ccea59202b1386b93360e3b723a8f9a642d972&i=pdf3

「蔵書というものは,書物や資料を集められた方の個性や固有の文化を反映していて,思想を研究するものにとっては,貴重な,かけがえのない遺産である。この遺産を基礎に,多様な創造的アイディアが生まれる。文庫はドメインであり,智慧のなる木である。」(池上)
大学図書館が果たす機能を再考させることがらではある。