書誌情報:新潮選書,284頁,本体価格1750円,2024年7月25日発行
1968年の夏の甲子園大会に18年ぶりで出場し初戦に勝った盛岡第一高校の校歌が流れた。「軍艦マーチ」旋律の校歌が流れたことは今でも記憶に残っている。本書では「替え歌校歌」の代表として詳しく触れられている。2007年夏の甲子園大会で佐賀北高校校歌の作詞者・高田保馬の名前を見たときはびっくり桃の木山椒の木だった(関連エントリー参照)。
また,校歌ではないがユーミンが長崎・奈留島の奈留高校に贈った歌「瞳を閉じて」のエピソードはよく知られている。
本書は,戦前から現在まで多くの実例を通じて校歌こそ時代を映す音楽のジャンルであることを論じた音楽文化・社会史である。男女別学の時代を含む高校(旧制中学)史や生徒会史とも重なり,校歌から見える学校文化論でもある。
評者が学んだ高校は入学すると同時に音楽で校歌を,応援団の「指導」では多くの応援歌(勝ったときの「凱歌」や負けたときの「図南歌」など)を覚えた。おかげで今でも諳んじて歌えるのだが,(本書で纏められている)「アムール川の」を原曲とする応援歌にはまったく記憶がなかった。
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