1237山口真由著『リベラルという病』

書誌情報:新潮新書(729),221頁,本体価格760円,2017年8月20日発行

リベラルという病 (新潮新書)

リベラルという病 (新潮新書)

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人種や性別などの平等を主張するのはひとつの価値観であって,それをあたかも宗教のごとく信仰にまで高めたリベラリズムは病だと著者はいう。リベラル信仰が分断を産み,トランプを生み出した。アメリカの最高裁判事,家族をめぐるコンサバとリベラル,イデオロギー的核心をもたない日本のリベラルとリベラル総叩きである。
リベラルを「欺瞞と偽善」とし,「信仰」として切り捨てた先には日本の「伝統」や「風土」しか残らない。リベラルの考えが「民主主義を解さない野蛮な帝国に対しては,内政に介入してでも祈伏すべき」(217ぺーじ)は評者には「どうも腹に落ちなかった」(4ページ),いや腑に落ちなかった。