書誌情報:日本経済評論社,1:ix+231頁,2:x+261頁,3:ix+227頁,本体価格各2,500円,2006年12月8日

- 作者: 阿部恒久,天野正子,大日方純夫
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (6件) を見る

- 作者: 阿部恒久,天野正子,大日方純夫
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (5件) を見る

- 作者: 阿部恒久,天野正子,大日方純夫
- 出版社/メーカー: 日本経済評論社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
- -
男性学,男の歴史,男性史と銘打った書物は1990年代以降出版されるようになった。ひとつの契機は,80年代に女性学にジェンダー概念が登場したことによる。本書は,事実上男の歴史と変わらないかつての歴史叙述からジェンダーによる問題提起を経て,男性史の構築を目指したものだ。日本の近現代史(明治維新から現代まで)を,第1巻では明治維新から第一次世界大戦前後まで,第2巻では第一次世界大戦前後から第二次世界大戦による敗戦まで,第3巻では第二次世界大戦から現在まで,それぞれに区分して叙述している。
男性性や男らしさを主題に通史を描く試みとしては最初のものといっていいだろう。執筆者が家族,生活,労働,戦争などの専門家であるがゆえに,各時代のトピックを通史になるよう配列した印象が強い。また,とくに戦前期の天皇制国家をもとに「前近代の男性意識に国家的な尺度から箍(たが)がはめられている」(第1巻78ページ)・「明治国家という国民国家は,きわめて明確な性的分業を”国民”に制度として強制する」(同,104ページ)などのように国家規範を重視するものから,戦後において新しく作られた男らしさの強調にいたるまで男性性の見方も一様ではない。