書誌情報:技術評論社,223頁,本体価格1,580円,2007年7月10日
クルマの渋滞 アリの行列 -渋滞学が教える「混雑」の真相- (知りたい!サイエンス)
- 作者: 西成活裕
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第23回講談社科学出版賞と第8回日経BP社BizTech図書賞を受賞した『渋滞学』(新潮選書,2006年9月,asin:4106035707)の続編。渋滞学の解説,渋滞学とシミュレーションとの関係,身近な渋滞などに触れ,渋滞の原因とそれを避ける方法について提言している。
狭い出口から人が同時に出ようとしてつかえることをアーチアクションと呼んでいる。アーチアクションが起こらなければ競争しながら出たほうが早く退出できる。アーチアクションが起こるかどうかは出口の幅で決まり,退出時間を規定しているという。スーパーのレジの待ち時間は,「リトルの公式」によって,(行列の総人数)/(1分間の到着人数)でわかる。銀行のATMの前などのフォーク待ちはセルオートマトンを用いたシミュレーションが応用できる。京都の「鴨川カップル作戦」は渋滞や事故が起こりやすい織り込み交通に適応できる。なるほど。
人間生活のいたるところにある渋滞の解消だけでなく,「鴨川カップル作戦」などのような「創発的アプローチ」で渋滞ストレスは大幅に緩和される。ストレスのない社会の創発という問題提起はとてもおもしろい。