225北川宗忠編著『観光・旅行用語辞典』

書誌情報:ミネルヴァ書房,xii+258頁,本体価格2,500円,2008年6月30日発行

観光・旅行用語辞典

観光・旅行用語辞典

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日本政府は2020年には外国人観光客を2,000万人まで増やす計画とのことで,そのこともあって本日付けで観光庁が発足した。先日,一橋大学で大学院経営学修士コースに観光MBAコースを設置するというニュースがあったが,これについては一橋大学が根も葉もないとするコメントを発表した(http://www.hit-u.ac.jp/function/outside/news/2008/0922-1.html)。評者が所属する学部では夜間主コースの定員を振り替えて「観光まちづくりコース」(定員20名)をつくる。観光立国には反対しないけれど,足元にもその影響が及んできている。
さて,本書は,観光や旅行にかんする(たぶん)初めての用語辞典。観光学は日本では新しい分野のようだが,イギリスなどでは古い歴史をもっていると聞く。さっそく「観光学 (tourismology) 」を引く。

1920年代後半,ヨーロッパではじまった体系的な観光の研究に起源し,これらの理論や講義録がわが国に伝わった。(中略)(前略)研究者の機関として「日本観光学会」(1960年創設)が誕生し『研究報告書』(1963年創刊)が観光され,また60年代後半には大学・短期大学に観光学科が創設されて,わが国における「観光学」が新しい研究分野としての地位を確立していった。(中略)観光学研究機関も8大学に観光学部,ツーリズム学部(2007年現在)があり,観光関連学科・コースを設置する大学は全国各地にある。

この項目のように「重要項目」は囲み解説にし,索引にも太字にしてある。観光・旅行にかんする日常語から学術用語まで収録されていて,読む辞典としても活用できそうだ。「アール」は知ってた? 婚礼や旅行業界では常識? リベート (rebate) の R からきてるそうな。「お遍路さん」もある。「成田国際空港」もある。もちろん「ごね得」とは書いていない。辞任した中山某大臣はこれを読むべきだった。