650アインシュタイン・改造社・ピアノ

出版ニュース』2013年4月上旬号の表紙には改造社版『マルクス・エンゲルス全集』の予約募集のチラシが載っていた(→http://www.snews.net/news/1304a.html)。「円本」時代を象徴する出版事業のひとつとして知られている。

改造社は創業して間もない小出版社だったが,創業者・山本實彦はバートランド・ラッセル,サンガー夫人,アインシュタイン来日のスポンサーでもあった。
アインシュタイン来日後,京都と奈良にも立ち寄った。この時通訳をつとめたのが帝大入学前の若き西堀栄三郎である。栄三郎の兄・清一郎が改造社京都支局長の浜本浩と親しく,当時縮緬などの織物工場を経営していた西堀家がアインシュタインの滞在費を負担したからだという。
さらに,アインシュタイン奈良ホテル宿泊時(1922年11月17日と18日)に弾いたピアノが特定され,数奇な運命をたどり64年ぶりに奈良ホテルの1階ロビーに置かれている。
辻利幸(奈良ホテル営業企画部長)「博士が取り戻したピアノ――アインシュタインも演奏,奈良ホテルに復活――」(日経,2013年4月3日付)はこのピアノが復活するまでをまとめていた。