064歌田明弘著『ネットはテレビをどう呑みこむのか?』

書誌情報:アスキー新書016,250頁,本体価格724円,2007年6月26日

ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)

ネットはテレビをどう呑みこむのか? (アスキー新書 016)

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著者の問題意識は2つある。ひとつは,タイトルにあるように,テレビはネット端末になろうとしていること。メディア世界で圧倒的な影響力を持ってきたテレビは変わりつつある,変わらなければならないということである。ユーチューブ,広告,著作権,放送と通信の融合にかかわるテーマに言及してこの問題を考えている。総じて変わらない放送=テレビへの評価は辛い。
いまひとつは,「もの言わぬ砂つぶ」=「群衆の叡知」への懐疑。世論動向やブログを検証することで,みんなの意見は案外正しくない実態を指摘する。メディア批判のメカニズムはすでにできており,新しく出現したネット世論との折り合いが問題になっているとする。
視聴率を稼ぐためのくだらない番組が淘汰され,いずれ在京キー局のテレビ会社員ですら今後高所得が得られる職場ではなくなるということははっきりしている。メディアにおけるテレビの位置がさらに相対化されるのだけは間違いない。