130雨宮処凛著『プレカリアート――デジタル日雇い世代の不安な生き方――』

書誌情報:洋泉社新書(181),238頁,本体価格780円,2007年10月23日

プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)

プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)

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不安定な(precario)なプロレタリアート(proletariato)の造語として作られたプレカリアート precariato とは,2003年イタリアの路上で発見された落書きだという。プレカリアートの実態を報告し,そこに巣くう貧困ビジネスを告発し,かれらの生存権を主張する本書は,石原慎太郎との対談はミスマッチだとしても,出されるべくして出された本だ。ワーキングプアプレカリアートとし,問題の焦点を絞りきっているかぎりでは,労働政策,企業政策の転換と生活保障・住宅保障をふくむ社会政策の充実を主張していることになろう。
大量のプレカリアート創出の原因は,「新時代の日本的経営」(日経連,1995年)にあるとし,「国内奴隷制度」のはじまりとする。「就職氷河期時代」の一時的現象とも読めてしまうのが難点といえば難点か。
雨宮処凛「すごい生き方ブログ」→http://www.sanctuarybooks.jp/sugoi/blog/