1804デイヴィッド・ランサム著市橋秀夫訳『フェア・トレードとは何か』

書誌情報:青土社,211+viii頁,本体価格1,900円,2004年11月15日発行

フリー・トレード(自由貿易)に未来はなく,フェア・トレード(公正貿易)に未来があるのはなぜか。利益を出すのが資本主義だという「常識」に,人間が生み出してきた各種の協同組合,信用組合,互助保険,貯蓄貸付組合,住宅金融組合などは自由な市場と両立するだけでなく,ひょっとするとそれを超える可能性をもっている。フェア・トレードは,一部のものを富ますのか(より多数のものを貧困にするのか),それとも全体的に人間の幸福を豊かなものにするのか,その臨界点に位置する。
コーヒー,カカオ,バナナ,ブルー・ジーンズの事例を通して,「北」と「南」,「不平等」と「環境破壊」の接点からフリー・トレードの限界とフェア・トレードの可能性が見えてくる。