226川島良彰著『コーヒーハンター――幻のブルボン・ポワントゥ復活――』

書誌情報:平凡社,253頁,本体価格1,700円,2008年2月20日発行

コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活

コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活

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2007年4月,幻のコーヒーであるブルボン・ポワントゥの復元・発表があった。100gで数千円するというコーヒーの登場には評者も吃驚した記憶がある。その復活劇の仕掛け人が本書の著者である。
ブルボン・ポワントゥのブルボンは,インド洋に浮かぶブルボン島 (Ile Bourbon) で18世紀にアラビカ種ティピカから起きた突然変異種のコーヒーをいう。同じブルボン島でもうひとつの突然変異種があった。先が尖ったコーヒー豆で非常に香り高くすばらしい品質をもっていたという。この豆がブルボン・ポワントゥである。ポワントゥ (pointu) は「尖った」を意味している。ブルボン島は現在はフランスの海外県レユニオンと名前が変わった。ちなみに,県都サン・ドニにある空港は,テニスの全仏オープンの会場の名前にもなっているローラン・ギャロスという。1913年,世界で初めて地中海横断飛行に成功し,第一次世界大戦フランス軍のエースパイロットとして活躍して戦死したこの島出身の飛行家の名前だそうだ。
本書はブルボン・ポワントゥ復活物語なのだが,コーヒー生産地や市場,消費などコーヒーにまつわる話にも多く触れている。エルサルバドル,ジャマイカ,ハワイ,スマトラのコーヒー事情も詳しい。
著者は,現在,コーヒーハンター(失われた品種の再開発をする人)としての経験を生かし,スーパー・プレミアム・コーヒーの開発,サステイナブル・コーヒーの普及,コーヒーサロンを通じたコーヒー学の実践をしているという。

    • UCCブルボン・ポワントゥ→http://www.ucc.co.jp/bourbon/
    • UCCコーヒー博物館→http://www.ucc.co.jp/museum/index.html(神戸・ポートアイランドにある博物館。コーヒーの起源,栽培,流通,加工,文化,さまざまな情報が小さな博物館に展示されている。コーヒーに関するクイズコーナーがあり,正解に応じて,「コーヒー大博士」,「コーヒー博士」,「来館記念証」がもらえる。評者は,2004年8月3日,顔写真入りの「コーヒー大博士」の認定証をもらった! 認定証番号No.021830。)