142南充彦著『中世君主制から近代国家理性へ』

書誌情報:成文堂,318頁,本体価格5,300円,2007年5月30日

中世君主制から近代国家理性へ (愛媛大学法学会叢書 12)

中世君主制から近代国家理性へ (愛媛大学法学会叢書 12)

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著者は評者の同僚で「歴史政治学」を担当していた。病をおして本書を著し,昨日7日間質性肺炎のため逝去された。享年53歳。最初の単著が遺著になった。
著者はもともとジョルジュ・ソレルとモーリス・バレス,およびシャルル・モーラスの研究からはじまり,さらに対象をフランスの中世および近代初期,国家理性の問題に広げた。君主制とマイネッケ『国家理性の理念』を手掛かりにした国家理性の問題を解きほぐす作業が本書である。国王と国家,宗教と政治,教会と国家という大きな問題意識をもって,政治の教会・宗教権力からの自立過程を論じ,主権,王権神授説,国家理性を鍵とした。
共著に,『現代フランス政治史』(ナカニシヤ出版,1997年,asin:4888483949)や『国家と民族を問い直す』(ミネルヴァ書房,1999年,asin:462303027X)などがある。
謹んでご冥福を祈る。