書誌情報:東洋経済新報社,249頁,本体価格1,600円,2007年9月20日
- 作者: 西尾久美子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
- -
京都花街は7日が仕事始めだ。京都花街は350年続く伝統産業である。なかでも京都花街を総称して「五花街(ごかがい)」と呼ぶ。上七軒(かみしちけん),祇園甲部(ぎおんこうぶ),祇園東,先斗町(ぽんとちょう),宮川町(みやがわちょう)がそれだ。
それら花街の制度の特徴を紹介し,舞妓・芸妓の独特のキャリア形成を論じたのが本書である。芸妓は地毛でなく鬘であるのにたいし,舞妓は地毛で日本髪を結い,今でも箱枕で寝るそうだ。舞妓・芸妓は徹底したOJTであるとともに,女紅場とよばれる花街の学校で学ぶシステムになっている。一見さんお断りや疑似家族関係によるお茶屋と置屋(著者は高度技能専門職と呼ぶ)運営は善かれ悪しかれ古くからの信用取引や花街共同体の遺産であろう。
他方,今でも残るとされる「旦那さん」や未婚でなければならない舞妓・芸妓についてはもっと突っ込んだ指摘があってもいい。「おわりに」で謝辞を捧げている恩師たちを「指導教官」(ボールド体:評者)と呼ぶのは正しくない。