111私立大学の入試動向から

日本私立学校振興・共済事業団の私学振興事業本部が2008(平成20)年度の「私立大学・短期大学等入学志願動向」を公表した(http://www.shigaku.go.jp/s_home.htm)。毎年この時期に公表しており,私立大学・短期大学の志願動向の特徴をみるうえで,参考になる。当該年度と前年が中心だが,年度を遡ってみていくことで中・長期的傾向はわかる。すでに作っていた資料に今年度のものを追加してみた。もとの数字はすべて私学振興事業本部の公表してきたものである。
まず,4年制大学について。赤の縦棒は定員割れの大学数(グレーの縦棒は定員を満たしている大学数)で,266大学,47.1%(黄色の折れ線)になった。定員割れ比率は,2006年度に221大学,40%になり,2007年度は221大学,39.5%だった。1999年までは10%を超えることはなかったが,2000年度に入ると30%前後で推移し,2006年度に急激に増加したことがわかる。

短大については,2006年度に定員割れ短大が多数となり,2008年度は67.5%となった。短大は志願動向からは間違いなく冬の時代といえる。

4年制大学を地域別でみると,入学定員充足率では,中国地区と四国地区で90%を割り込んだ。また,全地域において前年度に比べて低下したことがわかる。各地域の「学部数」については,以前の統計では「大学数」となっていた時期がある。定員割れ比率が上昇するとともに,大学数だと大学名が特定されてしまうことになるため,最近は「学部数」で公表しているようである。入学定員充足率は,入学者数と入学定員数との比であるから,「学部数」を表出しても数字とは直接の関係はない。学部が多ければ大学も多いという程度の参考情報だ。