マルクス・エンゲルス研究者の会編『マルクス・エンゲルス・マルクス主義』第49号(八朔社,本体価格3,000円,2008年6月25日)が出た。日中両国の『共産党宣言』の受容・影響についての研究が掲載されている。
『共産党宣言』(1848年)は初版初刷刊行後,101の異なる言語に翻訳されている。ロシア国立社会・政治史文書館の蔵書には,世界各国の77言語,372刊本が保管されているそうだ。その一部を,同文書館の研究者ヴァレリイ・フォミチョフによるプレゼンで二度ほど見たことがある。日本語訳については,本号に寄稿している橋本さんによって,82刊行本が確認されている。
中国語訳は日本語訳を経て伝わったことが知られているが,その経緯と訳文の検討などの本格的研究は初めてではないかと思われる。力作が載っている。
タイトル | 執筆者 |
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『共産党宣言』と中国 | 季正聚(解澤春訳) |
『共産党宣言』の翻訳の問題――版本の変遷からみた訳語の先鋭化について―― | 陳力衛(賀婷/笹野ゆり訳) |
日中両国における『共産党宣言』の受容=翻訳史概観 | 大村泉 |
いつ頃「共産主義」という訳語は生まれ,また定着したのか?――日本で明治期に出版された代表的な英日字典および新聞論説に基づく事例研究―― | 笹野ゆり |
日本における『共産党宣言』の翻訳と,訳語の変遷――1904年から1925年まで―― | 玉岡敦 |
陳望道訳『共産党宣言』(1920年)の翻訳底本について | 賀婷 |
『共産党宣言』の『ドイツ語ロンドン新聞』再録の背景 | 橋本直樹 |
マルクスの「資本」概念の4つの抽象レベル | ロベルト・フィネスキ(早坂啓造訳) |