023和歌山県立博物館および館蔵品選集

20日(土),出張のついでに,和歌山城和歌山県立博物館に行った。和歌山城は,海上から見た形が虎の伏した姿に見えることから虎伏山(標高50メートルほど)と呼ばれる山の頂にある。岡口門(裏門)は江戸初期の建造物だそうだが,それ以外はほとんど空襲で焼けた。一通り見て,入場料350円を払って天守閣に昇る。松山城天守閣ほど高さは感じない。それでも市内全域を見渡すことができる。和歌山大学がある小高い山を遠望することができた。

和歌山城に隣接する和歌山県立博物館に足を伸ばす。この建物は1994年7月に,和歌山大学教育学部跡地に建てられものだ。ちょうど企画展「古文書が語る紀州の歴史」(9月6日〜10月5日)を見る。12世紀から江戸初期までの古文書46点によって紀州の歴史を扱っている。間藤家文書(海南市),王子神社文書(紀の川市),軍学者宇佐見定祐文書(橋本市),前田家文書(由良町)のほか博物館蔵の根来大工鳥羽家文書を,子ども向けの解説やクイズとともにワンフロアーで展示していた。A4一枚の資料一覧があるだけの小さな企画展である。
常設展は古代から第2次世界大戦まで土器,発掘品,所蔵美術品(展示の多くは複製品)などで紀州の歴史を鳥瞰するもの。きちんと整理され民衆の歴史を中心に描くメッセージ性を感じた。この常設展の図録はないようで,館蔵品選集「きのくにの歴史と文化」(2004年5月31日発行)を買い求めた。高野・熊野信仰,熊野古道南海道紀州徳川家紀州三大文人画家・三大窯など,紀州らしさにこだわって収集しているようだ。展示品のなかでは,偕楽園焼,清寧軒焼,瑞芝(ずいし)焼,南紀男山(おとこやま)焼の江戸後期の作品が目を引いた。図録では「美術品取得基金」によって購入したもののようで(瑞芝焼は寄贈),なかなか見ることのできない作品とみた。