書誌情報:藤原書店,232頁,2008年9月30日,本体価格2,400円
社会思想史研究〈No.32(2008)〉特集・共和主義と現代―思想史的再考
- 作者: 社会思想史学会
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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共和主義の特集をしている。共和主義は,啓蒙思想や自由主義の再検討という研究上の課題とともに,グローバリゼーションが進行するなかで国民国家の政治制度の有りようを模索するなかでの現代的課題――共和主義的秩序や市民的公共圏構築――へのアプローチだという。評者自身,共和主義がなんたるかをまったく整理できていない。共和主義と法・政治制度,経済学のほか自由主義や社会主義との関係などやまほどある。現代の共和主義が市民的人間の行動原理になりつつある,あるいは,NGOや学会・学界の運営が共和主義にもとづいているなどと指摘されているが,共和主義のもつ多義性がそう見えるだけともいえる。川合が指摘しているように,「社会主義・マルクス主義の衰退に対応して共和主義のルネサンスがあるとしたら」,なるほど一考してみる価値はある。
田中秀夫さんの『共和主義と啓蒙――思想史の視野から――』(ミネルヴァ書房,1998年10月,isbn:4623029409)は本邦唯一のポーコック研究書とのこと(小田川)。積読から解放せねば。
ジャンル | 執筆者 | タイトル | |
<特集>共和主義と現代――思想史的再考―― | - | - | |
- | 田中秀夫 | 序論 復活する共和主義――その様々な可能性―― | |
- | 小田川大典 | 現代の共和主義――近代・自由・デモクラシー―― | |
- | 厚見恵一郎 | 初期近代共和主義研究への視角――ルネサンス・フィレンツェと17世紀イングランド―― | |
- | 川合清隆 | ルソーの共和主義理論――その歴史的意義をめぐって―― | |
- | 犬塚元 | 拡散と融解のなかの「家族的類似性」――ポーコック以後の共和主義思想史研究 1975-2007―― | |
コメント | 小田川大典・厚見恵一郎・川合清隆・犬塚元 | - | |
総括 | 田中秀夫 | - | |
公募論文 | - | - | |
- | 大塚雄太 | クリスティアン・ガルヴェにおける人間・社会・モラル――「流行論」にみる現実的人間と通俗哲学の可能性―― | |
- | 倉科岳志 | 叛逆する若者たち――パピーニ,プレッツォリーニの参戦運動(1914年-15年)―― | |
- | 石田雅樹 | 「全体性」としての政治,「世界性」としての政治――レオ・シュトラウスとハンナ・アーレントにおける「政治」と「哲学」―― | |
- | 松谷邦英 | 「武器なき預言者」のアゴニズム――ジャック・エリュールの暴力論における「反政治」の論理―― | |
- | 見附陽介 | A・ホネットの物象化論――その可能性と限界について―― | |
書評 | - | - | |
- | 堀田誠三 | 厚見恵一郎著『マキャヴェッリの拡大的共和国――近代の必然性と「歴史解釈の政治学」――』 | |
- | 生越利昭 | 山田園子著『ジョン・ロック『寛容論』の研究』 | |
- | 鳴子博子 | 川合清隆著『ルソーとジュネーヴ共和国――人民主権論の成立――』 | |
- | 喜多見洋 | 安藤隆穂著『フランス自由主義の成立――公共圏の思想史――』 | |
- | 佐野誠 | 野口雅弘著『闘争と文化――マックス・ウェーバーの文化社会学と政治理論――』 | |
- | 八田幸二 | 小峯敦著『ベヴァリッジの経済思想――ケインズたちとの交流――』 | |
- | 中谷義和 | 小林清一著『アメリカン・ナショナリズムの系譜――統合の見果てぬ夢――』 | |
- | 田中智彦 | 中野剛充著『テイラーのコミュニタリアニズム――自己・共同体・近代――』 | |
- | 安田恒雄 | 安丸良夫著『文明化の経験――近代転換期の日本――』 | |
英文抄録/英文目次 | - | - | |
公募論文投稿規定/公募論文審査規定/執筆要領 | - | - | |
編集後記 | - | - |