社会思想史学会のメーリングリストで知った催し。
名古屋大学附属図書館特別展2008年秋季特別展 「西洋近代思想と永井文庫――最大多数の最大幸福を求めて――」(http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/event/index.html)
日本では徳川幕府の支配が続いていた200年ほど昔,イギリスでは,近代的な政治や社会の幕開けを告げる新しい思想の誕生の時代を迎えていました。ベンサムやオウエンなど,その時代を代表する思想家たちや,フランス革命,議会改革,穀物法論争,社会主義など,当時の論争の的となったテーマを中心に,新しく名古屋大学附属図書館に寄贈された「永井文庫」の豊かな世界の一端を紹介します。
永井文庫とは講演される永井義雄名古屋大学名誉教授が寄贈された図書のことをさす。永井はオウエン,マルサス,ベンサム研究で著名であり,評者も何度か謦咳に接したことがある。我利我利亡者を連想させる「功利」の代替案を提起されたこともある。永井蔵書のうち西洋初期刊本(約600点)および書簡類を名古屋大学附属図書館の貴重書室に収めて「永井文庫」にするとのことだ。永井の貴重な蔵書がこうして後世まで伝えられことになり,永井の決断と名古屋大学附属図書館に敬意を表したい。
この展示会と講演会も評者にとっては興味深いが「永井文庫」の中味に関する情報がない。探したところ,中井えり子「永井文庫(近代イギリス経済学史・思想史)について――概要と保存対策――」(名古屋大学附属図書館報「館燈(とうとう)」第166号,2008年2月15日,http://www.nul.nagoya-u.ac.jp/koho/kanto/kanto166.pdf)を見つけた。折角の貴重情報が企画と連動していない点は是非改善してほしいところだ。
永井については,このエントリーに一文を再掲したことがある(参照→「経済学史研究の集成と現代」https://akamac.hatenablog.com/entry/20070312/1173693933)。