148早慶は入学者数を公開していない

橘木俊詔著『早稲田と慶応――名門私大の栄光と影――』(http://d.hatena.ne.jp/akamac/20081006/1223305104)の続稿。大学の情報公開度を入試情報でみるのは正解だ。「『[週刊朝日ムック]2009年版 大学ランキング』」(http://d.hatena.ne.jp/akamac/20080502/1209721598)でも指摘したように,入試情報をすべて公開していない大学はその理由を説明すべきである。早稲田大学慶応義塾大学も入試情報をすべて公開していない。両大学のウェブをみると入試情報については一見ことこまかに公開しているようにみえる。

入試情報は,学部・学科毎に,かつ試験区分毎に,定員,志願者数,受験者数,合格者数(補欠合格),入学者数を公開して意味がある。早稲田も慶応も一般入試についてはそれなりに公開している。だが,共通して公開していない数がある。それは入学者数である(ただし早稲田は全学の入学者数については公開している)。実施しているその他の各種入試については公開度はさらに落ちる。一覧表にするだけでまったく違うはずだ。受験生にとって重要な情報は合格者数までだとの意見もあろうが,入試情報は受験生だけに関係するわけではない。税金が投入されている以上当然開示すべき事項だからである。
評者が考えている入試情報はこうだ。

学部 学科 試験制度 定員 志願者数 受験者数 合格者数 補欠合格者数 入学者数
○○学部 ○○学科 ○○試験 - - - - - -
-- ○○学科 ○○試験 - - - - - -
-- ○○学科 ○○試験 - - - - - -
●●学部 ●●学科 ○○試験 - - - - - -
-- ●●学科 ○○試験 - - - - - -

こうするだけで入試情報は完璧である。国公立大学のほとんどはすくなくとも前年度についてはこれに近い数字を公開している。ただし,残念ながら,受験者数や入学者数を公開していない国公立大学はまだある。私学の雄,名門,日本でもトップたる早稲田大学慶応義塾大学はなぜ公開しないのか。繰り返す。入試情報のうち,志願者数等の数字が意味を持つのは,学部・学科毎に,かつ試験区分毎に,定員,志願者数,受験者数,合格者数(補欠合格),入学者数を公開した時である。
大学教授が政府の審議会委員やマスコミで,情報公開の必要性やその不備を主張することが多い。いつも評者が念頭においているのは,その教員が所属する大学の入試情報だ。もしその情報開示に不備があれば信じないことにしている。