238羽入辰郎著『学問とは何か――「マックス・ヴェーバーの犯罪」その後――』

書誌情報:ミネルヴァ書房,xv+537+23頁,本体価格6,000円,2008年6月30日

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ヴェーバーの「犯罪」を告発した前著『マックス・ヴェーバーの犯罪――『倫理』論文における資料操作の詐術と「知的誠実性」の崩壊――』(ミネルヴァ書房,2002年9月30日*1[isbn:9784623035656])にたいする折原浩本4冊と橋本努ホームページ上の「羽入-折原論争」などへの反駁本である(参照:羽入辰郎著『マックス・ヴェーバーの哀しみ――一生を母親に貪り喰われた男――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20071123/1195804826)。
折原の4冊本も本書も「ザッハリッヒ」にヴェーバーにだけ論点が絞られておらず,時に人格批判ともいえる応酬が興味深い。東京大学名誉教授も東京大学倫理学科の課程博士第1号もさすが。東京大学のすばらしさがいたるところに披瀝されている。「学術書」(xvページ),こうあるべしの典型である。羽入前著はヴェーバーの「犯罪」告発ではなく,東大山中湖事件の唯一の生き残り,「東大駒場社会学を教え」「専門は医療社会学」の「市川芳孝(仮名)」の「五人殺し」告発とも読める。こういう伏線が敷かれていないと「学術書」ではないのだ。評者も大いに勉強になった。
さて次に読むのは,羽入前著批判本である,橋本努・矢野善郎編『日本マックス・ウェーバー論争――「プロ倫」読解の現在――』(ナカニシヤ出版,2008年8月5日,[isbn:9784779502736])だ。

*1:第7刷,2008年4月30日発行,では4ページの「補注」と2文献の「文献目録」への追加がある