185東京農工大学農学部の任期制

今日付けの日経新聞に出ていた。国立大学ではすでに任期制の導入が「義務化」され,「制度化」されている。期限付きのCOEプロジェクトなどで導入されていることが多い。「米国の大学では広く導入され」ているが,日本では「教員からの反発が根強く,定着していない」と記事にある。評者は教員の任期制それ自体に反対ではない。すでに紹介した某大学のようにすべての教員を一律に任期制にするようなやり方は無茶だと思っている(「全教員の任期が1年の大学」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090106/1231249294)。
農工大農学部の任期制導入のキーワードは,助教(以前の助手)を対象にして,5年内に「優れた業績を上げた場合に限り」終身雇用がありえるとしていること。任期制を本格的に導入する以上はこうするしかないだろう。

東京農工大 農学部若手教員に任期制 学部単位で国内初 優れた業績なら終身雇用の准教授
東京農工大学は4月以降に採用する農学部の若手教員に任期制を導入する。対象となるのは若手教員が中心の「助教」というポストで,任期は5年。業績を上げれば終身雇用の准教授に昇格する。文部科学省によると,学部単位で任期制を導入するのは国内大学で初めてという。
農学部には5つの学科があり,助教ポストは1月1日現在で16人。今春以降の採用者が任期制になる。採用した助教は給与待遇は以前と変わらないものの,研究室を独立して運営し研究テーマを自由に選べる。任期中に優れた業績を上げた場合に限り准教授になれる。「新制度で有能な人材を集めたい」(若手研究支援室)という。
大学教員の任期制は「テニュア・トラック制」と呼ばれ,大学側が研究者の能力を見極められる利点があり,米国の大学では広く導入される。国内でも一部の大学や独立行政法人が試験的に導入してきたが,教員からの反発が根強く,定着していない。(日本経済新聞,2009年1月26日)