296佐藤勝彦著『宇宙論入門――誕生から未来へ――』

書誌情報:岩波書店(1161),iv+215頁,本体価格700円,2008年11月20日発行

宇宙論入門―誕生から未来へ (岩波新書)

宇宙論入門―誕生から未来へ (岩波新書)

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今年1月著者は愛媛大学宇宙進化研究センターの講演会(→http://www.ehime-u.ac.jp/whatsnew/2320/2320.html)で来学された。講義の関係で聞くことはできなかった。ポッドキャストで配信していた東京大学学術俯瞰講義はとてもおもしろかった。
さて素人の簡単な読後感。相対性理論量子力学という現代物理学の力によって,宇宙の歴史が137億年であることがわかってきた。宇宙論の解説とともにインフレーション理論を中核にした100億年後,1000億年後,10の100乗年後の宇宙の未来予測も科学する醍醐味を味わわせてくれる。
南部理論「対称性の自発的破れの仕組みの発見」が宇宙論パラダイム転換(真空の相転移によって誕生直後の宇宙がインフレーションし,ビッグバンを引き起こしたという理論)にも寄与したし,小林・益川理論「6個のクォークによるCP対称性の破れ」が宇宙における反物質の不存在の説明の重要な鍵だそうだ。素粒子論と宇宙論との結びつきについて知ることができた。
平易な文章ながら凝縮された内容をもっていると思う。