書誌情報:河出書房新社,207頁,本体価格1,500円,2009年4月20日発行
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1960年代後半,欧米では「マルクス・ルネサンス」があった。日本では不在だったといわれることが多いが,『資本論』第1巻刊行100周年(1967年)にあたり,記念の集会や出版はかなりあった。マルクス没後100年の1983年も雑誌での特集や出版がピークに達した。その後,ベルリンの壁崩壊(1989年)とソ連解体(1991年)という社会主義体制の崩壊によって『資本論』もマルクスも葬りさられたと長らく信じられてきた。
ここにきて,『蟹工船』や『資本論』を中心にしたマルクス関係出版物の刊行は,マンガや入門書が多いとはいえ,マルクス本は売れるということなのだろう。
伊藤誠『資本論』はどのような書物か」が総論的な役割を果たし,的場昭弘「『資本論』完全解読」,川村哲也「『資本論』重要概念集」を挟み込み,長原豊「恐慌はなぜおこるのか」,萱野稔人「現代によみがえる『資本論』」,白井聡「マルクス主義は世界をどう変えようとしてきたのか」,田崎英明「現代思想としてのマルクス主義」,大川正彦「マルクスとともに何を考えるべきか」で各論を論じ,川村「マルクス経済学者列伝」でまとめる構成だ。
「『資本論』とマルクス主義のすべて」とはいうものの――すくなくとも「すべて」とはいえない――,『資本論』の解説とマルクス主義方法論が照射する問題領域を扱っていることはまちがいない。
マルクスと『資本論』の解釈が多様でありえることを知る術となる「手帖」である。
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