358久恒啓一編著『図解 資本論』

書誌情報:イースト・プレス,143頁,本体価格1,300円,2009年7月17日発行

図解 資本論

図解 資本論

  • 作者:マルクス
  • 発売日: 2009/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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社会人院生のプロジェクト「多摩大・図解アルチザン」の作品だ。約60項目を文章と図解とによる2ページ見開きにおさめ,「資本論の裏話」として7つのエピソードをまとめた。
資本論』が図解のプロの目にとまり,社会人たちの共同作業で陽の目を見た本書は,「マルクスは死んだ」・「『資本論』はもう古い」などとした20年ほど前からの常識「世界を変える」ものだ。歴史的諸章の一部も図解している。
60年代のマルクスルネサンスと言われた時も,1983年のマルクス没後100周年前後にも,マルクスや『資本論』を論じたのはマルクス否定論者を含めたいわば専門家だった。これまでこのエントリーで紹介してきた多様なマルクス本,『資本論』本の出現は,資本主義への懐疑を背景にしつつも,今ならマルクスや『資本論』は売れるという計算もある。『資本論』訳を持っている出版社の動きが見えないのが不思議だ。
(5ページ2行目「となりした」→「となりました」,13ページの参考文献「超約」→「超訳」,の変換ミス)
(2009年7月20日追記)てなことを書いたら,大月書店から「マルクス・フォー・ビギナー」シリーズが出ることを知った。『共産党宣言』,『空想から科学へ』,『賃労働と資本』,『賃金・価格・利潤』,『フォイエルバッハ論』の全5巻で,新しく,解説のほか,用語説明と図版を挿入したとある。「センチュリー版」の新版のようだ。『資本論』については依然として反応がない。