書誌情報,幻冬舎,174頁,本体価格1,300円,2009年2月25日発行

- 作者:弘兼 憲史
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
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日経新聞の広告で本書を知った。このところマルクスや『資本論』の入門書が多い。折からの経済危機や格差問題の噴出と無縁ではない。
本書の特徴は,マンガと図解入りであること,各項目を2ページにコンパクトにまとめたこと,マルクス思想の源泉や現代的課題にも関説していること,にあるだろう。ページ見開きに,文章だけでなくマンガ,図解がある。「知識ゼロ」の読者を対象に,わかりやすさを徹底しようとする監修者(著者?)の姿勢がよくわかる。
本書を読んで『資本論』を読もうとしたとしよう。参考文献にあるのは向坂訳の岩波文庫版だ。評者なら,新刊本として買うことができる『マルクス・コレクション』シリーズIV・V(筑摩書房,『資本論』第1巻のみ)か新日本出版社版(新書と上製本)を奨めるところだが,これも監修者(著者?)のこだわりだ。
「マルクスは,労働を「労働力」という商品と考えた」との項目(74ページ)はどういう意味だろう。この項目は,労働=「労働力」という商品,ということを言っているわけだから,意味不明となってしまう。図解では「商品としての「労働力」には価値がある」(75ページ)ときちんと説明してある。
最終項目「政治や社会に関心を持てと,労働者に訴え続けた」(162ページ)とは読者へのメッセージでもある。
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